人類は何故それを食べようとしたか? フグ編
世界で日本ぐらいしか食べない珍しい魚…「フグ」。
世界各国にはその国独特の食文化と言うものがあるので、本来なら外からあーだこーだ言われるのは間違いってものなのですが…フグは「見た目が~」「調理方法が~」とかそういう意味じゃなく、素で命が危険だから他の国は食さず、それを食べる日本人を不思議に思う訳です。腹痛ぐらいじゃ収まらない毒ですからね~
そんな危険物なので、日本でも免許を持つ熟練の職人が調理をして、ようやく食べられる代物です。しかし、平均として数人の人が毎年、フグ毒に当たって亡くなっているらしいです。 そして、そのほとんどが無免許のフグ料亭か素人によって引き起こされてます。
フグの毒は主に「肝臓」「卵巣」「腸」内に含まれており、さらに種類によっては「皮」「筋肉」「精巣」に入っております。内臓取れば大丈夫…ってわけじゃあ無いんですよ。 このフグに含まれている毒の「テトロドキシン」は、フグの学名【Tetraodontidae】と毒【toxin】が合わさって出来た物であり、その名の通りフグが作る毒…と思いきや、もともと海にいる細菌が持っている毒素で、これをヒトデ類や貝類が食べて体内に蓄積し、さらにそれをフグが食べて体内に蓄積する…と言った感じで毒が段々と濃縮されて完成するらしいです。
んじゃぁ、そういったプランクトンがいない環境で人工飼育すればどうか?と言う話になりますが、その場合ですと毒がないフグになるのですが…育つにつれてフグが自傷行為をし始める為に育たない、もしくは傷だらけで商品価値がなくなるらしいですね。
話がそれましたが、このテトロドキシンは毒素としての強さは、暗殺や自殺でなじみ「青酸カリ」の850倍の強さを持ち、300度の温度につけても分解しないほどに熱耐性が強いので、熱したところで一切毒が消失することはあり得ません。
テトロドキシンの毒性の正体は「神経毒」になります。
摂取後…その量にもよりますが最速20分~症状が現れ、初期段階は「めまいによる歩行困難」や「指先や口唇部のしびれ」から始まり、そこから「運動麻痺の重症化」「知覚・言語障害」「呼吸困難」となり、「全身麻痺」「血圧低下」に陥り、「呼吸停止」「意識消失」となって最終的には「死亡」します。
現段階ではテトロドキシンに対する即効性のある薬は存在しなく、薬での治療や症状を抑えることはできず、「全身麻痺を起こす⇒神経の伝達機能が阻害されているから」という所から、それを強制的に活性化させる化合物「アコニチン」を使えば…と、思えばそれ自身もまた別な毒であるため、使用すれば死に至るというジレンマが残ります。
しかし、基本的にはテトロドキシンが細胞や神経を破壊したり、分解したりする訳では無いので代謝によって毒素が排出されるまで、呼吸困難をどうにかすればよい話なのですが…長時間人工呼吸しなければならないのと、普通の状態での人工呼吸とも違うので非常に難しいという。
素人の方は先の通り「内臓に毒があるから、そこ取れば大丈夫」とか「熱をしっかり通せば大丈夫」とかそういう感覚で食べるのでしょうが、そういう単純な話ではなく、そもそも危険なものですのでちゃんとした免許がない人が食用として扱ってはいけないのです。
特に中途半端に知識を持った人が注意で、先の通りフグの種類によっては皮や筋肉の部位でもアウトなものもあります。
フグは高くともちゃんとしたお店で食べましょう!