油断大敵!小さな傷からでも起こりうる危険な感染症

f:id:pegasasu-0120:20180220103243j:plain

怪我はいつどこで受ける物か分かりません。自分でやってしまう時もあれば、気を付けていても他人から貰う時だってあります。おっと、危ない。

「小さなけがなら、気にしなくて丈夫」だって?

確かに、小さな擦り傷や切り傷などは身近でよく起きる珍しくもないケガではある。しかし、中にはこの小さな傷から命を落とす場合もあるのだ。

2015年3月イングランド東部エセックス州。ここに住む二児の母であったスミスさんは、肩の痛みを覚えて病院に向かい抗生物質を受け取り帰宅した。しかし、そこから数日たったが痛みは治まらず、それどころか容態が急変し緊急処置となり集中治療を受けたのだが間もなく死亡したそうだ…その後、彼女の死因を調べて分かったのが「敗血症」

大量の細菌が血液に乗って全身をめぐる事で起こる多臓器不全の事だ。そして、その原因を作ったのが、なんとガーデニング中に負った手の小さな擦り傷だそうだ。

こう言った事はしょっちゅうある訳ではないが、世界中を見てみると毎年数件は起きているのが現実である。つまり、小さいからと言って油断はできないわけだ。

 

さて、擦り傷から敗血症と言うのはかなり稀なケースではある物の、その他の感染症となれば話は別である。こういった小さなけがから起こりうる感染症としてとくに有名なのは破傷風であろう。

破傷風はその名前の通り破傷風菌の感染から起こる人獣共通の病気であり、日本の感染症法施行規則、5類感染症全数把握疾患に記されている病気でもあり、診断した医師は保健所に届け出がいるそうだ。破傷風ワクチンが出来ているから、患者数は多くないように思われても毎年100件近い感染が起きている。

潜伏期間は3日~3週間の間とされ、症状の段階が進む速さが速いほど重症で後遺症や死亡のリスクが大きくなる。

破傷風最大の症状は運動神経に作用して、筋肉の硬直を起こす事にある。初期段階では、「肩の痛み」「顔の引き釣り」「舌が回らない」の症状だが、進むにつれて「呼吸器官の狭窄」「歩行障害」が起き、最終段階には「全身の筋肉硬直による後弓反張(背骨が反対側に反って弓なりになる現象)」が起き、脊椎骨折を起こし呼吸困難になり死亡する。

脳や神経に作用するも、運動神経のみが硬直する為に意識や痛覚ははっきりしているのもこの病気の恐ろしい所だ。破傷風の死亡率は成人でも15~60%であり新生児であれば80~90%まで登る。

 また、蜂窩織炎も小さな傷から起こりうる感染症の一つである。

蜂窩織炎は他に蜂巣炎とも呼ばれる皮膚の炎症で、普通の皮膚炎と異なるのは皮膚の比較的深い場所…皮下脂肪の周辺にて起こる炎症だ。

手足や顔に多く発生し、感染カ所に皮膚の赤みや腫れ、患部の発熱と痛みを発生させ、症状が進行すると悪寒や発熱、関節痛や頭痛と言った全身症状も共に発生させる。

時間経過と共に腫れた皮膚は硬質感が弱くなり、徐々に柔らかくなっていくのだが…この時に皮膚の下の膿も一緒に皮膚上部へと現れる場合があり、場合によってはそこから皮膚が裂けて内組織が露出する場合もある。そうして場合、膿と一緒に内部のダメになった皮膚下の組織も流れ出て、深い潰瘍となる事もある。

そこまで行った場合にはダメになった組織を取り除く手術が必要になる為、入院は必須となる。

 

どちらも僅かな傷…それもいつの間にか出来ていたようなほんの小さな傷から起こりうる病気である。何度も言うが、小さな傷だからと言って舐めてはいけないのだ。

傷が出来たらまず、流水で患部を綺麗に洗ってやる。傷についた汚れやゴミは綺麗に取ってからの治療となるのが基本だ。

最近は湿潤療法たるものもあるようだが、小さな傷であればそれでも十分に構わないが広範囲の傷や深さがあるような傷の時は病院に行ってみてもらう方が良いだろう。