これってどうして?消毒(アルコール)が菌やウイルスだけを殺せる訳
怪我をした時や感染予防の為にシュシュっと行うアルコール消毒。ガーゼ、液状、スプレー式など様々あります。
ここ最近はマスク共々店頭から姿を消しており、品薄状態が続いています…
さて、そんな消毒薬ですがここで基本的な疑問を一つ…「なんで、アルコールは菌やウイルスを殺せるのか?」
商品名で「99%除菌○○」のような物も見かけ、それだけ菌を殺す力を持っているのなら使用した手も痛めてしまいそうな物ですが、そうはなりません。
また、傷口にアルコール消毒を使用した時も殺菌はしても、傷口がどうにかなる訳でもない…まして 「ウォッカ・スピリタス」なんてお酒になれば、アルコールの濃度的にはもはや消毒と変わらないのにお酒として飲まれている。
…なんでアルコールは菌やウイルスだけにあんなに反応するのでしょうかね?
・「なぜ?アルコールは菌やウイルスを殺せるのか?」
大雑把にお話しすると、実はアルコールはタンパク質や脂質を変質させる効果を持っています。
その為、タンパク質で作られた殻「エンベローブ」を持ったウイルスや、そもそも生物なのでタンパク質で構成されている細菌類がこのアルコールの成分を受けると、タンパク質が変質を起こしてしまう為に死んでしまうのです。
簡単に言えばこれが「細菌」や「ウイルス」に消毒が効く理由になります。
逆を言えばタンパク質の殻(エンベローブ)を持たずに別な殻で身を守るウイルス(ノンエンベローブウイルス)や、種のような状態になり保存状態に入っている菌(細菌芽胞)なんかはアルコール消毒が効かなかったりします。
・「タンパク質を変化させるのになぜ人は大丈夫なのか?」
先の通り、アルコールにはタンパク質を変異させる物質を含んでおります。
その原理から言えば普通の人でもアウトなんじゃ?と思われますが、人間は大丈夫ですよね。なんでなんでしょう?
これは言われれば簡単な事で、「構成する細胞の数」が大きな点になります。
ウイルスにしろ細菌にしろ、構成する細胞の数は1つであり増殖力は極めて高い訳ですが、この1個の細胞がやられれば当然死滅する訳です。
しかし、人間は複数の細胞から成り立つ多細胞生物であり、数個の細胞が変異・死滅しようとも平気であり…さらには皮膚上であれば皮膚の上に存在する不活性となった 細胞の層である「角質」があり、消化器官に関しては 「粘膜層」がある為に直にアルコールを受ける事も無い為に大丈夫なのです。
・「お酒はアルコール消毒の代わりになるのか?」
最初のお話にも出したお酒の中で最も強いとされる「ウォッカ・スピリタス」。 アルコール濃度96度であり、お酒の癖にまさかの第4類危険物の扱いを受け 「ガソリン」と同じ取り扱いをしないと危険と言う…
さて、消毒用アルコールに含まれるエタノールのアルコール濃度は40%から殺菌能力を高めていき70%が最も効果がある濃度だと言われています。
エタノールはその通り殺菌成分としても使われるのですが、その通りお酒の主成分でもあります。
消毒用と飲料とではまたちょっと違いますが、エタノールの部分だけ見れば同じ物であり、使い方と濃度によっては効果を発揮する事も出来ます。
その為、度数が70度以上のお酒。「ウォッカ・スピリタス(96度)」や「ロンリコ151(75.5度)」 「ドーバースピリッツ88(88度)」なんかであれば、アルコール度数的には消毒の代用にはなるでしょうが…大人しくアルコール用毒を買ってくる方がめんどくさく無いし、安上がりになります。
逆に消毒用アルコールをそういった度数が高いお酒の代わりに出来るのか?と言うと、結論から言うと「代用になるも、どうなっても知らない」と言う感じです。
消毒用アルコールには、先の通りお酒と共通のアルコールである「エタノール」が入っている物と、「メタノール」と言うまた違う物が入っている物もあります。
このメタノールを摂取すると、中毒症状を起こして失明を引き起こす事があり、摂取量によっては死亡する場合もあります。
また、エタノールで構成されている物であっても、エタノールの揮発を防ぐために様々な化学物質を配合している事もある為、摂取後に身体に何が起こっても不思議でも何とも無いんだとか。
コッチもそんなリスクを賭けるなら普通にお酒を買って飲んでくる方がよさそうですね…