怖い話で身体が涼むって本当なの?
8月のこの時期。夏の暑さも、お盆を過ぎると徐々に弱り始めてくる…とは聞きますが、まだまだ暑い日は続くのであり、熱中症などには注意が必要であります。
最近のお盆の時期はあまりやらなくなりましたが、以前はこの時期になるとどこのテレビ番組も挙って「心霊写真」、「心霊体験」等の怖い話を取り扱った物です。筆者、信じる・信じないは別として、あった方が面白いと思う派なので、あの手の番組は好きだったりします。
怖い話と言えば、夏の涼しみ方の一つに『怪談話』があるのは知っている人も多いかと思われます。怖い話を聞いたり話したりすると身体がぞくっとするから暑い日には良い…と言うのが理由らしいのですが、実際にこの怪談話によって涼しむ事は可能なのですかね?
結論から申し上げると、びっくりする事に涼しむことが「できる」という事。
以前にとあるテレビ番組でも同じような事を実験した例があるのだが、その際にはちゃんと体温が下がっている結果が、温度計とサーモグラフィーから分かっているのだと言う。
物理的に直接冷やす訳でも、何かを食べたり飲んだりして体の中から冷やしている訳でもないのに体が寒くなると言う…これもやはり迷える霊魂の仕業なのか?
実はこの事象、ちゃんと科学的には解明されているのである。
簡単に言えば、怪談話をする事で恐怖を煽り、身体にストレスを与える事で体温が下がるのだと言う。
人と言うか、生物が恐怖を感じる場面と言えば身に危険が訪れた時であり、敵対生物と遭遇した時や災害などに見舞われた時は特に分かりやすいでしょう。
このような危機的な状況による極限の緊張は、自律神経の働きを強くさせて心拍数などの上昇を促すとともに、身体の四肢や皮膚への血流量を少なくさせます。
そうすると、冷え症などで血流が悪くなった部位が冷たくなる原理と同じく、手足や体表面の血流量が下がり「身体が冷える」となるのです。
何で身体が身に危険が感じると血行が悪くなるのか?身に危険が及ぶのなら、四肢への血液量を多くして、いつでも動けるようにした方が良いのでは?と思うのですが、実はその逆で、危険な状況であるなら『いつ怪我をしても止血できるように』と言う事のようです。
なので、怪我をしやすいであろう手足の血流量が減り、逆に主要臓器のある身体に溜まるのである。
まとめると、怖い話によって身体が恐怖を感じ、脳内から出たアドレナリンの効果によって手足の血行が悪くなり、冷たくなって寒く感じる…つまり涼しさを感じるのである。
日本の夏に怪談話をする文化は古くから存在し、 知っている人も多い「百物語」なんかは江戸時代ごろに度々書物として出されており、更にはその原点に当たるお話と言うのは室町時代に既にあったと聞きます。
…元々、お盆などに行う怪談と言うのは「涼」を得る為の物でなく、お盆に帰ってくる霊の鎮魂・慰霊の為に作られた文化であると言います。
お盆時に帰ってくる霊には様々な物があって、中には怨霊や悪霊と言った物も地上に帰ってきます。そういった霊の恨みや苦しみを物語として語り、様々な人に知ってもらう事で鎮魂とする…といった感じだったのだとか。
それがやがて歌舞伎などにも取り入れられ大衆化していった結果が、今の怪談話となるようです。
最近の暑さは尋常ではなく、怪談話でどうのこうの出来るレベルでは無いのですが…たまには怖い話を通して、見えないお友達を傍に感じながらゾクリとするのもこの時期ならではだと思います。