今月の旬 日本では根菜、外国では薬草…10月は「牛蒡」が旬

f:id:pegasasu-0120:20200904113813p:plain昔のお話である。第二次世界大戦が終えてからの事。一人の日本人が軍事裁判にかけられた。

戦争中の出来事に対して裁判を受けると言うのは珍しい話ではなく、やはり戦争中と言う時期なだけに様々な事件や違反が行われ、この人物もそんな人たちと一緒で罪状は「捕虜に対する虐待行為」

一体どのような虐待が行われたか?と言うと「牛蒡を食べさせた」と言う。

この「牛蒡」、麻薬などの隠語のように、何かをごまかす意味などではなく日本ではおなじみのあの牛蒡(ごぼう)になります。

曰く「食料不足ではあるが、できるだけ栄養がある物を食べさせようと思った」と言う善意の行動だったのであるが…まさに食文化の違いが生んだ悲しいお話になります。

 

さて、そんな悲劇の中心となった牛蒡が10月から旬を迎える季節になります。

最近でこそ和食の知名度も世界に広がっている為に「牛蒡」を知っている海外の人もいますが、世界各国を見てみると牛蒡を普段食べる根菜類として使用しているのは日本だけとの事。

牛蒡の伝来元である「中国」でさえも、漢方薬に使うか救荒植物としてしか使わないと言う。

 

先の人のお話にある通り、牛蒡は「栄養も豊富にある」食べ物になります。

水溶性、不溶性の二種類の食物繊維を持っている点を中心に、ビタミン類は幾分か少ない物の多様なミネラル分をバランスよく含み、カリウム亜鉛マグネシウムなどもちゃんと含んでいたりします。

また、皮の部分付近にはコーヒーなどでもよく知られているクロロゲン酸を含んでいる為、牛蒡を調理する際は「皮を取らない」等で調理するのが良いと言われております。

 

元々は漢方薬として用いられていたこともあるせいか、牛蒡には「薬」としての効果も色々とあるとされており、この場合は根っこの部分よりも種の方がよく使われていたそうです。

主に根っこの部分には「発汗作用」「利尿作用」があるとされ、欧米では「バードック」の名前でハーブティー(漢方茶)として用いられております。

一方の種の部分は漢方で「牛蒡子」の名前で扱われ、「浮腫み取り」「咽頭痛の緩和」「解毒作用」があるとされており、牛蒡子を煎じた汁を水で薄めて飲む民間療法なども存在する。

また、葉っぱの部分も種類によっては食べれる物もあり、他にも日干しにして入浴剤やうがい薬として使用する例などもあるそうです。

もう根っこだけではなく、葉っぱから種まで全部使いきれてしまうあたりが牛蒡の凄い所…

 

さて、もしそんな牛蒡をごっそりもらってしまった場合にはどうしたらよいのか?

この場合はよくスーパーなどで売っている「洗いごぼう「泥付きごぼうかで、保存できる期間が大きく変わってきます。

保存を考えた場合には「洗いごぼう」の方が実は長持ちしません。泥付きの方が保存次第で1ヵ月以上もつのに対し、洗いごぼうは1週間がいい所でしょうかね。

一度水にさらされている上に、洗われたごぼうは表面に細かな傷が出来ている為に痛み易くなっており、そこから水分も抜けやすくなっている為に乾燥しやすくなっています。

なので、洗ってある牛蒡を保存する際は乾燥しないようにラップでくるんで1週間くらいで消費仕切るように使いましょう。

 

一方、泥付き牛蒡のほうは新聞紙などでくるんで冷暗所に保存をすれば、常温保存であっても1ヶ月はもちます。

この際に牛蒡を横に寝せずに立てて置くことにより、より安定した保存を行うことが出来ます。自宅に庭があって地面が掘れる状況ならば、縦に穴を掘って牛蒡を埋める事でも安定して保存が出来ると言うので、もし庭がある家ならばそう言った保存でも良いかもしれません。この場合はさらに長期の2ヶ月くらいの保存が可能なんだとか。