怪我した痕が残る時と残らない時ってどんな違い?

去年(12月)のお話。冬になると筆者はタイヤ交換を自分で行うようにしている派で、この時も時期になったので、いつも通りタイヤ交換を行っていました。

しかし今回、いつも使っている電動でボルトを外すドライバーの調子が悪く、仕方が無いので昔ながらの手動工具(十字レンチ)で外す事に。

ギッチリと閉まっているボルト相手に四苦八苦する筆者。工具を嵌めて足でゲシゲシやっていると足が滑り思わずガリッと足の側面をすりむいてしまう。うぅむ、痛い。手動工具を使うと必ずどっかをすりむく筆者である…ちなみに現在完治済みである。

 

さて身体には自然治癒能力が付いており、よほど大きな傷でない限りは時間経過で自然と治ります。なので日常の中で小さな切り傷や擦り傷、裂けたり引っ掻いたりなんかをしても気が付いたら治っていたりするのである。

しかしながらこの能力も当然完璧では無く、綺麗に治る時もあれば傷跡として残ったりする事もしばしば。

さて、ここで一つ。

大けが等の治癒により身体に傷跡が残るのは仕方がないとして、先のような日常で身体についてしまう小さな傷であっても身体に傷跡が残る場合と、完全に消える場合とがあると思うのですが…この違いって何なんでしょうかね?

 

この傷跡が残るか残らないかの線引きは、単純に傷の深さが関係してきます

当然ながら傷口が深ければ深いほど治癒過程が複雑になり、それに伴い傷が綺麗に治る率は低くなります。具体的には表皮の下にある真皮層のどこまで傷が達するかという事。

我々が普段目にしている皮膚である「表皮」は実に0.2mmくらいの厚さしかなくそれより下は真皮層と呼ばれる繊維組織になります。

この真皮層部分も比較的浅い部位までの傷であれば再生した際に傷跡を残さないのですが、ある程度真皮の深い位置になると傷跡を残しやすくなるのだ。これは何故なのか??

傷が出来て治るのは、ぱっくりと裂けた傷同士がくっつくと言う点に間違いはないのだが、このくっつくと言うのは傷の面と面が直接つながる訳では無く、正確には傷と傷の合間を埋めるようにして再生の為の組織が作られるのである。なので、傷同士が直接くっ付いて治る訳では無いのだ。

 

この傷によってできた隙間を埋めるようにして作られる組織は必ずしも元あった組織のように再生する訳では無く、傷が深かったり範囲がデカかったりすると再生した組織が目立ちやすくなり「傷跡」として残るのです。

この事が、深い傷が治った際に傷跡を残しやすい理由となっている訳であり、そして、傷跡が治った後も中々消えない理由にもなります。

浅い傷でも跡が残る場合もありますが、その場合は傷が治る際に色素が沈着した物や、傷に何らかの異物が入っている状態で治癒してしまった物で、前者の場合は時間をかければ消える場合もありますが後者の場合はその通り異物を取り除かない限りは体に残り続けます。

 

その通り、一度できてしまった傷跡は治す事がほとんどできないのが現状である。
ならばどうすればよいのだろうか…というと、傷跡が出来にくい治療をすればよいのである。

傷跡が出来るのは先の通り傷の再生過程で出来るのであり、傷の治りが遅ければ遅いほど傷跡が残りやすくなる。…逆を言えば、傷の治りが速ければ傷跡は残り辛いのである。

その為には『早く治る環境を作ってあげる事』が大事になってくる。

傷を清潔に保ち、乾燥を防ぎ、患部がなるべく動かないように固定する…となると所謂ところの『湿潤療法』が傷跡を残しづらい治療法と言えるのである。

ただし、以前にもお話した通りに湿潤療法も万能ではないので、どういう傷にだって聞くと思ったら間違いである事は覚えておきたい。

 

そして、意外な所で紫外線もまた傷跡を残す原因となるのである。

再生したばかりの組織は紫外線の影響を受けやすく、いわゆる日焼けのような状態になりやすく色素沈着が起こりやすいのである。

なので、傷がふさがった後はしばらく日焼け止めのような物で元の傷場所を保護してあげると色素沈着を防ぐ又は最小限に抑えることができるのである。