調理法によって変わる栄養素。どの調理がいったい良いのか?

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長い歴史の中で、今から約140万年前に「火」を手にしたと言います。

火を手に入れたことにより、人は夜に灯りを取り、害獣を避け、寒さから身を守り、そして食べ物を焼いて食べると言う人類史最初の調理法を考えました。

そして、食材を調理して食べると言う方法はそこからずーっと続いているんだからすごいですよね。

 

さて、料理の際の主な調理方法は「煮る」「焼く」「茹でる」「揚げる」の四択になると思う訳ですが、食材に当然含まれている栄養素…これらの中には熱を通す事によって変質する物や、水分と一緒に流れ出てしまう物など調理過程で変化する物も数多くあります。

普段からそういった面を気にしている人はそう滅多にいないとは思うのですが、この調理方法による食材の栄養面がどう変わるのか、ちょっと見ていきましょう。

 

★1:焼き料理

もっとも原始的な調理方法である、食材を焼く方法。

肉の場合は焼く時間にもよりますが、時間の長さに比例してタンパク質が変質し肉汁が出て、脂質なども溶け出ていく為にエネルギー量、脂質の摂取量が少なくなります。逆に、焼き加減が少ないレアの状態ですと出ていく栄養部分が少ないので、必然とカロリーは高くなりますが消化・吸収はよくなるとの事。

魚も基本的には同じく、長時間の加熱調理ではEPA・DHAが失われてしまうので注意。しかし、フライパンなどでの調理であれば油の飛散率が少なく…特にEPAに関しては殆ど失われないとの事。

一方、野菜では抗酸化物質を持っている物が過熱する事で失われる場合があり、熱に弱いビタミンなどは長時間の調理だと栄養素が破壊される場合もあるようです。

 

★2:蒸し料理

直火ではなく、蒸気を使って加熱する調理方法。

肉の場合、よく蒸すと肉の油が落ちると思われていますが…焼く、茹でる、蒸すとを比較すると最も脂が落ちないのが蒸し料理になります。

直火では短時間の高熱で油が溶け、茹でた場合も加熱されたお湯に油が流れるのですが蒸し料理の場合はそういった影響が少ない為に油が落ちにくいようです。

一方の魚もやはり似たり寄ったりですが、油が流失しにくい分、EPADHAの消失が少ない。

野菜でも、栄養素の流出がもっとも少ない為に生食に次いで、栄養素を壊さず・捨てさずに得られる方法になります。

 

★3:茹で料理

お湯で食材を煮て調理する方法。

肉、魚、野菜すべてに共通して言えるのは、煮料理では水に溶ける種類のビタミン…水溶性ビタミンが外部へと出てしまうために、出汁を捨ててしまうとそれらを廃棄してしまう事となる為、実質的には栄養が少なくなっている状態です。

しかし、食材の持つ苦みや渋味の総称である「灰汁」を取り除けるため、他の調理方法よりも食材を食べやすく調理できます。

 

★4:揚げ物

高温の油を使った加熱調理方法。ちなみに、食材を油に入れた際にじゅーっと泡立つのは、表面の水分が気化する為。

肉類、魚類の場合、先の通り高熱の油によって内部の水分が気化し、油分が内部に入る為に脂質の量が上昇します。また、水溶性ビタミン・ミネラルも熱によって減少する傾向にあるようです。対して、脂質が多くなる為に摂取した際のエネルギー量は増え、油と一緒に摂取する為に油溶性ビタミンの吸収率があがります。

これと同様の事が野菜にも言え、水溶性ビタミン類は失われやすい一方で、普段はなかなか吸収されにくい脂溶性のビタミンは吸収率がよくなります。

「揚げ物=体に悪い」のイメージがありますが、「揚げたから悪くなる」訳では無く、「油のせいで悪くなる」のが正しく、劣化による油の酸化が最も人体に影響を及ぼすそうです。

 

調理の方法でも色々と変わって来るものなんですね。熱で栄養素が変質するとか、水と一緒に出てしまうならそのまま食べた方が…とも思えますが、物によっては寄生虫が有ったり、そのままでは消化・吸収率が悪いモノや、そもそも調理しないと毒素がある物等もある為に生の方がよいとは一概に言えないのがむつかしい所。