見て楽しむ秋の七草…春の七草みたいに食べられないの??

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春。冬の終わり春の始りにかけて、雪の中より他の草花よりも先んじて姿を出す草葉の事を 「春の七草」と言い、これらをお粥に入れて食べることで無病息災を願った物が「七草粥」となりました。
時期は大幅にずれて秋。この時期にも、季節を代表する七つの草葉があり、これらを総じて秋の七草」と呼んでいます。

秋に代表される七草はオミナエシ」「ススキ」「キキョウ」「カワラナデシコ」「フジバカマ」「クズ」「ハギ」となり、こちらも春の七草と同様に自然に生え、普段でも見ることが出来る野草となっています。
ただし、春の七草と異なる点は…どれも食べられる物ではないと言う点です。

春の七草はお粥にして食べれるのですが、秋の七草は『見て飾って楽しむ』ものになり、大昔にはこれら秋の七草を散策して詩を読むのが流行っていたとか。

しかし、食べられないと言えども、これら七草を生薬とし漢方として使用する物もある為、薬として活用されている物は結構あるみたいですね。流石、漢方の世界

ちなみに、秋の七草を漢方目線で見るとこんな感じに。

 

「オミナエシ」

生薬としては根の部分を乾燥させて使い『敗醤根』と呼んで使われている。また花の部分も『黄屈花』という生薬になる。鎮静、消炎、抗菌作用を持っています。
どちらも単体で使われる事が多く、他の生薬と混ぜて使う事が少ない。

 

「ススキ」

生薬としてはコチラも根っこを掘り起こし、水洗いをして乾燥させて使う。
効果としては解毒や利尿等の効果が期待できると言われています。

 

「キキョウ」

生薬としてはこれもまた根っこを使用し、えぐ味の強い物ほど効果が高い良質な物らしい。喉の痛みや化膿した腫物を治す。

 

「カワラナデシコ」

生薬としては草全部を抜いて乾燥させた物を「瞿麦(くばく)」と言い、これから種だけを取り出して乾燥させた物を「瞿麦子(くばくし)」という。
利尿作用や消炎作用があるとされている。

 

「フジバカマ」

生薬としては草の部分全部を乾燥して荒く切り刻み、乾燥させる事で作られる。
薬効としては軽度のむくみなどに対して有効である為、入浴剤の代わりに使用すると言う。また、乾燥させる際に「桜餅」のような独特の甘い香りがする為に、衣類の防臭・防虫剤として活用される事も。

 

「クズ」

七草の中では最も身近なものかもしれない。クズの根を乾燥させて作る物がご存知「葛根(かっこん)」。漢方で「葛根湯」という名前で聞いた事がある人も多いかと。
薬効といては解熱、発汗、鎮痛作用を持っている。

 

「ハギ」

花札の7月の絵柄にも使用されている低木の花。
生薬としては根っこの部分を主に用いり、乾燥させた物を使用します。薬効としては「眩暈」や「のぼせ」等に効果があると言います。

 

春の七草とはまた違い『見て楽しむ』と言うだけあって色彩豊かな秋の七草

乾燥させて生薬にも出来るので心得のある人は…とも思うのですが、その辺から採取した物ですと何が付いているかも分からないので、やめておいた方がよさげな感じも。
なのでご紹介はした物の、秋の七草はあくまで見て楽しみ、今回は知識だけと言う事で留めておきましょう。